おすかわ平凡日常記

整え続ける日々

結果論から正しいところに立とうとしていないか

後知恵バイアスというのは、その結果を知ったから判断しているのに、あたかもその結果を知る前から予測していたように考えてしまう心理状況です。 安達裕哉『頭のいい人が話す前に考えていること』 政治や社会について発言するのは簡単なのだ。いまの政治や…

「世間」も「人」も結局自分の幻想、というか自分。

どんなに圧倒的な結果を出してきた優秀な人であっても、 「嫌われることが不安で怖い」 と言います。 安藤広大『とにかく仕組み化』 人から嫌われるかもしれないと想像して言いたいことが言えなかったり、やりたいことができなかったりすることは多いのだけ…

人から責められたくないからやっていることは身につかない

「なぜミスしたんだ?」と、”個人”を責めるか。 「どうすれば防げたのだろう」と、”仕組み”を責めるか。 安藤広大『とにかく仕組み化』 私たちは物事が思い通りにならなかった時に、まずはその原因となったであろう悪人を探し出し、その悪人を責めることによ…

2023年に読んで良かった本5選

そういえば2023年に読んでよかったなーと思えた本は以下の5冊。 (とはいっても、2023年に読んだ本はどれもよくて、その都度良い時間を過ごすことができた) 1 保坂和志『人生を感じる時間』2 保坂和志『いつまでも考える、ひたすら考える』3 國分功一郎…

モノサシさえ捻じ曲げる

評価するべきものを評価する。 評価するべきでないものを評価しない。 企業理念に近づくことは、よい 企業理念から遠ざかることは、ダメ 安藤広大『とにかく仕組み化』 組織におけるモノサシは「企業理念」であり、その企業理念というものはテンプレ式に作る…

「動くことは損」という奴隷的な発想

「主人」と「奴隷」というラベルはまったくあべこべに逆転するべきものである。一組のペアが安定したパターンに落ち着いたときにはいつでも、「主人」すなわち「搾取する」役割を演じることになったブタは、ほかのすべての点で劣位の個体であった。いわゆる…

自分のコピーと協力できるか

ESSとは自分自身のコピーにたいしてうまく対抗できる戦略のことであると。その根拠を以下に述べる。成功する戦略とは、個体群の中で支配的となる戦略である。したがって、それ自身のコピーと出会うようになる。したがってまた、それは自分自身のコピーとうま…

日常は実はノンゼロサム

妬み屋であるというのは、絶対的に多額の金を胴元からせしめることよりも、相手のプレイヤーよりも多くの金額を得ようと努力することを意味する。妬み屋ではないということは、たとえ相手のプレイヤーがあなたと同じだけの金を得たとしても、それによって二…

大事なものは下手に増やさない

多数の卵を産めば、利益ばかりでなく代価がもたらされることははっきりしている。子作りの拡大は、子に対する保護効果の減少によってあがなわれる運命にあるのだ。 彼女は子作りと子育ての間で収支勘定をつけなければならないのだ。一匹の雌あるいは一組のつ…

「心の穴」をぼさっと眺める

「心の穴を埋める」ということは、自分が自分を受容していないのをごまかして、苦しみを相手のせいにすることだからです。 ヤリチンが「多くの女性とセックスできる自分が好き」というナルシシズムで心の穴を埋めようとしているように、自己受容してないオタ…

私もプー太郎が好きだ

私は大学時代はろくに就職活動もせず、卒業後はニートになったのだけれど、そのニート時代に以下の文章に出会ってすごく救われた。 新聞やテレビがニートを問題にするとき、「生涯で得られる収入の差が正社員とアルバイトでは二億円になる」とかそんな金の話…

大事にする方向性で

幸福と祝福は、財産がたくさんあるとか、地位が高いとか、何か権勢だの権力だのがあるとか、こんなことに属するのではなくて、悩みのないこと、感情の穏やかなこと、自然にかなった限度を定める霊魂の状態、こうしたことに属するのである。 (出隆、岩崎允胤…

限界のない富、大きな貧乏

貧乏は、自然の目的(快)によって測れば、大きな富である。これに反し、限界のない富は、大きな貧乏である。 これは『エピクロス――教説と手紙』に書かれていることであるが、この1つ目の「貧乏」は「ものの量が少ない状態」、「ものの量が実際に使うことが…

自然的「快」のある暮らし

先日『エピクロス――教説と手紙』という本を読んだ。 自己充足を、われわれは大きな善と考える、とはいえ、それは、どんな場合にも、わずかなものだけで満足するためではなく、むしろ、多くのものを所有していない場合に、わずかなものだけで満足するためにで…

身近なカルト

先日、近藤丸さんの『ヤンキーと住職』という本を読んだ。 分別してそのことで苦しむってこともある 例えば「あいつは良いやつ あいつは悪いやつ」といういい方を私もよくしちゃうんだけど でもこれって「自分にとって都合の良い人」のことを「良いやつ」と…

ネバギバでラベルを求める

保坂和志さんの『人生を感じる時間』に以下の記述があった。 人生というのは人からラベリングされるようなものではない。もともと人生に貼るラベルなんて存在しない。四十歳を過ぎるとそういうことが実感されるようになる。 私たちは人から良いラベリングを…

ニートに不寛容なニートの自分だった

どう考えても、いま目の前にあるこの社会は、人を奴隷的な労働に縛りつけるように全てが動いている。私は小説家だが小説家でさえも、自分が書きたいことを書きたいようにかいているのではなく、多くの小説家は学校の教室で模範解答案を書くように書いている…

「おいしいごはんが食べられない人」になっていないか

先日、高瀬隼子さんの『おいしいごはんが食べられますように』という本を読んだ。 ちゃんとしたご飯を食べるのは自分を大切にすることだって、カップ麺や出来合いの惣菜しか食べないのは自分を虐待するようなことだって言われても、働いて、残業して、二十二…

睡眠・食事・排泄・涅槃

先日、市川沙央さんの『ハンチバック』という本を読んだ。 私と同じような筋疾患で寝たきりの隣人女性は差し込み便器でトイレを済ませるとキッチンの辺りで控えているヘルパーに手を叩いて後始末をしてもらう。世間の人々は顔を背けて言う。「私なら耐えられ…

自分のために人を肯定する

先日、ラーラ・プレスコットさんの『あの本は読まれているか』を読んだ。同書に以下のようにあった。 「正しいかどうかは重要じゃない。どんなタイプの人間かということを素早く評価するために必要な情報を得ることが大事なの。人は自分でも知らないうちに、…

重要感を求めて生きている

デール・カーネギーの『人を動かす』という本に以下のような記述があった。 現実の世界では満たされない自己の重要感を得るために、狂人になる人が大勢いることは確かだ 自己の重要感を渇望するあまりに、狂気の世界にまではいって、それを満たそうというも…

人を粗末にするのは簡単

先日、デール・カーネギーの『人を動かす』という本を読んだ。この本には、いかにして人に気持よく動いてもらえるのか、良い感じの人間関係を作っていくにはどうすればいいのかが書かれている。同書には以下のことが書かれていた。 人を批評したり、非難した…

身の回りの循環と躍動を意識する

先日、資産チェックを行った。 8月9月は諸々の出費が重なったことから資産額は楽勝で減るものだと思っていたが、全くもってそんなことはなく、むしろ増えていた。しかも結構増えていた。 それはひとえにインデックス投資のおかげで、私はニュース等を一切見…

身の回りの稼働率はどうか

先日、ヌッチョ・オルディネさんの『無用の効用』という本を読んだ。 この本は私にとって色々な思考を促してくれることの多い本だったので、これからも折に触れて、この本を通じて考えたことを文章に書いていきたい。 あらゆる分野の知、あらゆる種類の人間…

整える人と没頭する人

先日、ガルシア・マルケスの『百年の孤独』を読んだ。とんでもなく濃密な 小説で、おそらくこの先も読み返したくなると思う。 その小説の解説文を梨木香歩さんが書いているのだけれど、その中に以下の一文があった。 「家」という建物は面白い。国とか地方、…

平凡を自信にする

先日、青山文平さんの『つまをめとらば』という小説を読んだ。 妻たちからは一様に優柔不断と責められた。振り返ってみれば、幾も紀江もけっして折れない質だった。言い分は決まって、私はまちがっていない、というもので、彼女たちから見てまちがっている者…

日常を整え続けていくだけや

先日、砂川文次さんの『ブラックボックス』という本を読んだ。 メッセンジャーは一生続けられる仕事じゃない。このことはサクマにとっても結構重大な問題として頭をもたげてきている。でもメッセンジャーをしているとメッセンジャーは一生できないという問題…

いかに優越感を味わうかだけの人生

先日、佐藤究さんの『テスカトリポカ』を読んだ。 当の本人は<命を救う>ことや<患者から感謝の言葉>などには、何の魅力も感じていなかった。末永が求めたのは力だった。権力や暴力とは異なる種類の力を望んでいた。 誰かの役に立ちたいという思いと、法…

「高み」を目指してどうするのか

先日、逢坂冬馬さんの『同志少女よ、敵を撃て』を読んだ。 「あなたは、ヴァシリー・ザイツェフのようになって、どうするつもりなの?」 「スポーツと違って、私たちの戦いは切りよく終わりはしないし、戦果判定も上限はない。けれどユリアン、不安にならな…

結局日常や

先日、木皿泉さんの『さざなみのよる』という本を読んだ。 そこに以下のような箇所があった。 最初はこんな日がずっと続けばいいと願っていたが、それが当たり前のように続いてゆくと、同じことの繰り返しが苦痛に思えてきた。 あんな子に負けてしまったのか…