おすかわ平凡日常記

整え続ける日々

「高み」を目指してどうするのか

先日、逢坂冬馬さんの『同志少女よ、敵を撃て』を読んだ。 「あなたは、ヴァシリー・ザイツェフのようになって、どうするつもりなの?」 「スポーツと違って、私たちの戦いは切りよく終わりはしないし、戦果判定も上限はない。けれどユリアン、不安にならな…

結局日常や

先日、木皿泉さんの『さざなみのよる』という本を読んだ。 そこに以下のような箇所があった。 最初はこんな日がずっと続けばいいと願っていたが、それが当たり前のように続いてゆくと、同じことの繰り返しが苦痛に思えてきた。 あんな子に負けてしまったのか…

優劣を問題にするだけの生き方

先日、川越宗一さんの『熱源』という本を読んだ。同書に以下の一節があった。 アイヌを滅ぼす力があるのなら、その正体は生存の競争や外部からの攻撃ではない。アイヌのままであってはいけないという観念だ。いずれその観念に取り込まれたアイヌが自らの出自…

身近なものを大事にするだけや

先日、青山美智子さんの『探しものは図書室まで』という本を読んだ。同書に以下の一節があった。 蛇口をひねり、ふと鏡をのぞく。そこにいる自分の顔を、まじまじと見た。 カップラーメンやコンビニの惣菜パンばかり食べているせいで、肌がぼろぼろだった。…

割に合わない快楽的中傷

先日、又吉直樹さんの『火花』を読んだ。同書に以下の一節があった。 少し長いが、引用するさかい。 「だけどな、それがそいつの、その夜、生き延びるための唯一の方法なんやったら、やったらいいと思うねん。俺の人格も人間性も否定して侵害したらいいと思…

いかに優越感を得られるかという幸福観

先日、川上未映子さんの『夏物語』を読んだ。同書に以下のように書かれていた。 きれいさとは、良さ。良さとは、幸せにつながるもの。幸せには様々な定義があるのだろうけれど、生きている人間はみんな、意識的にせよ無意識的にせよ、自分にとっての何かしら…

上か下かを問題にするだけの生き方

先日、西加奈子さんの『サラバ』を読んだ。同書に以下の文章があった。 「あなたは誰かと自分を比べて、ずっと揺れていたのよ。」 僕の好意さえ、誰かに監視されたものだった。 みんなが見て羨ましがるような女か、恥ずかしくない女か。 主人公は幼少期より…

人の求め方2選

先日、村上春樹さんの『街とその不確かな壁』を読んだ。同書に以下のような記述があった。 「孤独が好きな人なんていないよ。たぶんどこにも」と私は言った。「みんな何かを、誰かを求めているんだ。求め方が少しずつ違うだけで」 「そうね。そうかもしれな…

相手を通して見える自分を受容していく

先日、二村ヒトシさんの『なぜあなたは「愛してくれない人」を好きになるのか』を読んだ。同書に以下の一文があった。 女性に悪いところや弱いところがあることを許せないということは、二村さんが自分の中の悪いところや弱いところがあることを受容していな…

上下関係が身に染み込んでいる人

先日、村上龍さんの『ユーチューバー』を読んだ。同書に以下の一文があった。 今、わかるんだけど、おれは自由なんだ。みんな見たことがないんだよ。誰も気づかないけどね。すべての人が、上下関係が身に染み込んでいる。おれは違うんだよ。おれは学生で、ほ…

人を認める基準が自分を認める基準

先日、町田そのこさんの『星を掬う』を読んだ。同書に以下の一文があった。 弥一は、『素晴らしい才覚をもって成功する自分』という輪郭のない幻のような自己像があって、それを盲信していた。 この弥一というのは、常に何かでかいことをやることを夢見て、…

苦しい時に助けを求められない思考パッターン

先日、西加奈子さんの『夜が明ける』を読んだ。同書に以下の一文があった。 苦しかったら、助けを求めろ。 確かにそのとおりなのだけれど、言うのは簡単、やるのは難関、みたいなことをとあるラッパーが歌っていたように、実際に世の中には苦しい時に素直に…

「異常」を否定しながら生きている

先日、朝井リョウさんの『正欲』を読んだ。同書の中に以下の一文があった。 ・「自覚しているもんね。自分たちが正しい生き物じゃないって」 ・「自分に正直にとか言われても、その正直な部分が終わっている。俺は根幹がおかしい」 これはいわゆる”異常性欲…

鬼の心できれいにしようとする心

先日、青山美智子さんの『赤と青とエスキース』という本を読んだ。 同書に以下の文章があった。 鬼は外。鬼は外。 出ていけ。出ていけ、出ていけ。 私の中の鬼。弱くて、いじけてばかりで、疑り深くて、虚勢ばっかり張っている鬼。 これは主人公の女性が自分…

分けて否定して拘る日々になっていないか

山本文緒さんの『自転しながら公転する』を読んだ。 同書には以下の文章があった。 何かに拘れば拘るほど、人は心が狭くなっていく。 幸せに拘れば拘るほど、人は寛容さを失くしていく。 仏教には分別心というものが教えられている。 この分別心というのは、…

自分勝手な思い込みの中で生きている私たち

先日、凪良ゆうさんの『流浪の月』を読んだ。 その中に次のような一節があった。 「事実なんてどこにもない。みんな自分の好き勝手に解釈しているだけでしょう。」 私たちは「私は正しい」という大前提で生きている。そして自分なりの正しさに基づいて、物事…

『悪魔の傾聴』という本を読んだ

仏教では、大事なものや大事な人を大事にすることに幸福はあると説く。 「人の話をちゃんと聞く」という能力は、相手を大事にするために必要な能力だと思ったため、先日『悪魔の傾聴』という本を読んで、傾聴について勉強してみた。 学んだことの一部を忘れ…

『AI vs.教科書が読めない子どもたち』を読んで思ったこと

先日、知人の紹介で新井紀子さんの『AI vs.教科書が読めない子どもたち』という本を読んだ。 同書にはAIの限界と人間にしかできないことが書かれてある。 海外で採点にAIが活用されているという小論文には正解はありません。どのように採点しているかと言え…

それは本当の原因なのか、と立ち止まってやること2選

先日、エリヤフ・ゴールドラットさんの『ザ・チョイス』という本を読んだ(写真は撮り忘れた)。 本書から学んだことは、以下のとおり、主に2点。 ① 不都合な現実に直面した時、他人のせいにするのではなく、その現実から今後に活かせる因果関係を導き出す…

『梅干しと日本刀』から学んだこと3選

職場の人に勧められて樋口清之さんの『梅干しと日本刀』という本を読んだ。 自分の生活に取り入れたい点、印象深かったところを厳選して3つ書き記しておこう。 1 和食には先人の知恵が詰まっている。 日本人は世界に類を見ないほどに美食家であり、常に何…

ブルシット・ジョブ対策としてのミニマリズム

『ブルシット・ジョブ』という本を再読した。 本を再読すると自分がいかに本を読んでいないのかがよくわかる。「あれ、こんな面白いこと書いてたっけ?」と何度もいい意味で当惑することができる。 ブルシット・ジョブというのは「被雇用者本人でさえ、その…

『サイコロジー・オブ・マネー』を読んで学んだこと。

『サイコロジー・オブ・マネー』という本を再読したので、以下に同書から学んだことを書き留めておく。 ① 見栄を張らない・足るを知る。 ② 自分のゲームと他人のゲームを区別する。 ③ 貯金とインデックス投資でシンプルに資産形成をする。 ④ 自分の願望と客…

『エフォートレス思考』を読んで学んだこと。

『エフォートレス思考』を読んで学んだことを書き出してみる。 ① 努力や根性を美化しない。 ② もっと楽な方法はないか考えてみる。 ③ もっと楽しくやる方法はないか考えてみる。 ④ 自動化できないか考えてみる。 ⑤ やることの上限を決める。 ⑥ 自分でコント…

『イシューからはじめよ』という本を読んだ。

今回の連休は実家に帰ることになり、往復の新幹線の中で『イシューからはじめよ』という本を読んだ。 この本の中で最も大切なことは、序章〜第一章に集約されていると言っても過言ではない。 我々凡夫は、日々何らかの課題や問題に取り組んでいるわけである…

『心理的安全性のつくりかた』という本を読み始めた。

『心理的安全性のつくりかた』という本を読み始めた。 心理的安全性というのは、チームの一人ひとりが意見や疑問や指摘を言いやすい環境であるということを意味する。 そのようなチームのためにはまずはリーダーが、それとともにメンバーが心理的柔軟性を身…

『サイコロジー・オブ・マネー』という本を読んだ。

『サイコロジー・オブ・マネー』という本を読んだ。 この本の著者は「真の成功とはラットレースから抜け出し、心の平穏のために生きることである」という言葉を座右の銘としているそうだ。 「ラットレース」というのは、収入が増えるに従い生活水準をあげて…

自分が参加しているゲームを書き出してみる。

今、『サイコロジー・オブ・マネー』という本を読んでいる。 その中に、「別のゲームをしている人に振り回されると、お金の使い方も変わってくる」。よって「『別のゲームをしている他人の言動に惑わされないこと』が大切である」。「『自分がどんなゲームを…

『エフォートレス思考』を読んだ――やることの上限をうまく定めること。

『エフォートレス思考』という本を読んだ。 内容は、頑張りすぎるな、もっとシンプルで楽なやり方はないか考えろ、楽しいやり方にできないか考えろ、無理のないペースでコツコツと続けろ、自動化できないか考えろ、ざっくり言うとこんな感じである。 私にと…

2021年に読んで良かった本 5選

2021年も労働の合間を縫って色々な本を読んだが、以下の5冊は本当に読んで良かったなーとしみじみと思う本である。 1:『一汁一菜でよいという提案』 そもそも一汁一菜という型そのものがあることを私は知らず、何も考えずにテキトーに料理をしていたのだけ…