おすかわ平凡日常記

整え続ける日々

否定の否定としての肯定

人は否定語を受け取るのが難しい。 言葉としての指示を理性的に判断し行動するよりも、脳内にイメージしたことを実現しようとする習性のほうが、強く働くことがあるのだ。 この人間の習性を上手に活用するのが、会社のビジョンであったり、コーチングで未来…

「自分は正しい」と思い込んでいるから聴けない

相手が悪い行動をした時や、自分とは異なる意見や考え方の話を聴く必要がある時がある。ここで行動と意図が切り分けられず、悪い行動をした人は、悪い意図を持っているに違いないという前提に立つと、ちゃんと聴けない。 櫻井将『まず、ちゃんと聴く。コミュ…

道義、誠、まごころ

また君達はどんなに辛い日があらうとも、人類の文化創造に参加し、人類の幸福を増進するといふ進歩的な思想を忘れてはならぬ。偏頗で矯激な思想に迷ってはならぬ。どこまでも真面目な、人道に基づく自由、博愛、幸福、正義の道を進んで呉れ。 最後に勝つもの…

自分は正しいという大前提の下

漱石の如きは四十二歳の時、 『小生はこれまで神仏など信じた事は無き之候。唯自分といふのだけを信じて暮して居り候。所が近頃その自分といふものがつくづく当にならぬことに気がつき申候。この上は何を信ずべく候』と述べた。後になって学者の間では『之こ…

結局、温かさ

「野本さん、釈迦はね、世界最大のセンチメンタリストなんだよ。キリストは詩人なんだ。ぼくはね、なんのとりえもない凡人だけど、どんなときでもセンチメンタリストでありつづけたい。結局ね、パトスだけがわれわれ人間にとって最初の審判者であり、また最…

無色透明なものを解釈しているだけ

写生といふ事を皮相に解釈してなんでもかんでも見たままの事実を句にして万事事了れりとする初心者が多い。事実より真実へ、現象より本質へとゆかねばならぬのである。正しく言えば事実を通じて真実を、現象を通じて本質であらう。 辺見じゅん『収容所から来…

自分の世界の振り返り

他人の死は数え切れないほど見てきた。「死」の痛みにさえ鈍くなっていた。ましてやシベリアの空が美しいなどと考えもしなかった。第一、空をしみじみと眺めてみるような心の余裕などなかった。不思議な人物もいるものだという驚きとともに、「そうか、シベ…

大事にすることは楽しいこと

お客さんを喜ばせる、困った人を助ける、これは一言で言えば他人を愛するということだ。でも、僕たちにとって愛は、それを口にするのも恥ずかしいくらい「道徳的」で、「しなければならないこと」になっている。だからこそ多くの人は、人を愛することを「楽…

やっぱり心なんだよな、まじで

お金持ちになるか、貧乏のままでいるか、それは心が決めるんです。心が変わって、行動が変わって、その結果が世界に反映されます。 お金で買える喜びはすべて――素敵な服も、おいしい食べ物も、優雅な部屋も、豪華な旅行も――他人が作ったものです。でも、どん…

無意識の内にやってしまっている悪癖

「(略)お客さんを励ますためにやってるんだけど、自分を励ましているみたいな感覚というか……」 幸子さんはうなずいて言った。 「実は『他人に対する言葉や行動は、自分に対する言葉や行動』でもあるんですよ」 「え? どういうこと?」 「たとえば、貧乏の…

否定して逃げるから不安が生じる

不安になったとき、僕はすぐにそこから逃げだそうと考えてしまう。でも逃げようとすればするほど不安は大きくなっていく。 そうではなく、思い切って不安の中に飛び込んで自分のできる限りのことをしていると、不安はまるで幻だったかのように消える瞬間があ…

私たちの多くの努力は人を見下して優越感を得ることに注がれている

人をホメる人でも貧乏な人はたくさんいますよ。たとえば相手をコントロールしたくておべっかを使ったり、ただ嫌われたくないという理由だけで人をホメる人は貧乏な人が多いですね 水野敬也『夢をかなえるゾウ2』 自分が発する言葉、行動、その根底には何ら…

貧乏神を引き寄せる思考パッターン

「あの人、きっとこれからも貧乏ですよ」 「どうしてそんなことが分かるの?」 「だって、あの人は気持ちさそうに人を責めているじゃないですか。人を責めたり批判したりすることが好きな人って他人が不幸になることを望んでいる人ですから。そういう言葉を…

無常の転勤通知

先日、急遽、これまで話したこともない職場の幹部に呼ばれ、転勤を言い渡された。 転勤自体に抵抗はなく、来年の3月には別の土地に引っ越すのだろうなとは思ってはいたのだけれど、その時期が予想以上に早く来た。 てなわけで、10月から大分県に住むことにな…

「何者かになりたい」というのはどういうことなのかというと

このまま毎朝同じ電車に揺られ、同じ作業を繰り返して一生を過ごしていくのだろうか。僕の名前は誰にも知られず、何者にもなれないまま、この世界から消えていくのだろうか。 人間にとって一番怖いのは、将来が見えないことじゃなくて、将来が見えてしまうこ…

【悪用厳禁】優越感を得る方法|他人を粗末に扱う

結局、自分より強い女とは、一緒に暮らせない男なのだ。弱い女と暮らすことでしか、自分の弱さを認めることができない、幼稚で、バカで、キスがうまいだけだけの男だったのだと、今、乃里子ははっきりとそう思う。 吉田修一『日曜日たち』 価値のある人間で…

自分が自分を粗末にしているから不条理な苦しみがやってくる

最初のころは、帰りが遅いと言っては恭一に小突かれ、休みの日にいないと言ってはぶつぶつと文句を言われていたが、いつの間にか、何を言われても、何をされても、堂々と、「お願い、やめて」と言えるようになっていた。 自分よりも数倍ひどい悩みの相談に、…

理想の相手の見つけ方

夫や恋人の暴力で悩んでいる女性というのは、どこかプライドが高いところがある。こんなはずじゃない、自分の人生がこんなことになるはずがないと思っているから、こんなはずじゃない自分の姿、こんなことになっている自分の生活を、誰にも語れなくなってし…

類は友を呼び、殴り殴られる

『日曜日たち』 夫や恋人に殴られた女性が、次第に「自分が悪いから殴られるのだ」と思い込むようになるという説は往々にして的を射ている。それは殴られているときの自分しか、見えなくなってしまうからだと乃里子は思う。 吉田修一『日曜日たち』 私たちは…

本で読んだ料理を作ってみた

ごつい鍋にオイルを多めに入れて10分ほど熱してから、鶏肉、タマネギ、ニンジンのみじん切りをぶち込み、すぐさま蓋をし、派手な音を立てながら炒めている。落ち着いたところでコンソメを投入。美味そうな匂いがただよってきた。このソースをスパゲティにぶ…

人間の世界では、他者から自分の存在を認めてもらうために

生物の世界では、異性に好まれるために、生存に不適な極端な形質が進化することがある。クジャクのオスの派手な羽なんかがその典型例だ。大きすぎて動きにくいったらありゃしない。 前野ウルド浩太郎『バッタを倒しにアフリカへ』 人間の世界では、他者から…

非日常の楽しさは日常に苦しさに支えられている

寂しさを感じるときには、あるパターンがあった。決まって時間にゆとりがあるときだ。暇なときに寂しくなっている。なるべき仕事を詰め込んで忙しくし、寂しさを相殺するようにした。 前野ウルド浩太郎『バッタを倒しにアフリカへ』 私たちは何もない時間を…

世界は思い込みでできている

男と女はもともと作りがちがっている。この事実を認めようとせず、勝手な期待を相手に押しつけると、男女関係が暗礁にのりあげる。人間関係で降りかかるストレスのほとんどは、男と女はまったく同じで、同じような欲望や衝動を持ち、大事に思っていることも…

自分ではないものに振り回される発想

心酔とは「その人のことがふと頭に浮かんだが最後、忘れられなくなる状態だ。意識するのは相手の良いところばかりで、悪いところは目に入らなくなる」とフィッシャー博士は説明する。 パートナー候補者と絆を深めることが、心酔の目的である。この感情はとて…

苦しみを生み出す思い込み2選

本能や自然そのものが、いまの私たちにとって良いとはかぎらない。(中略)(明るい光に向かう本能を持つガは)本能や自然のおもむくままに行動していると、人間の作った駆除装置によって燃やされ、灰になってしまうのだ。人間の男も、自分に備わった欲求の…

生きづらさの思考パッターン

世間の風は、基準からはずれた生きかたを自分で選択した者には冷たいが、生まれつきの障害には温かい。サリドマイドしかり、パーキンソン病、自閉症、脳性マヒしかり。 ホモセクシャルは性的指向を自分で選んだわけではない。ホモセクシャルは、変えようと思…

人への反応パッターンが自分の思い込みを作る

(男が)誤りを認めたくないのは、女に愛想をつかされるのが怖いからだ。でもほんとうは、率直に自分が悪いと言える男を女は愛する。 勇敢であれ。弱みを見せてはならぬ。現代の男は、そんな先祖伝来の気質にいまも縛られている。 アラン・ピーズ、バーバラ…

言葉を吐き出させて女性を大事にする

女がやっかいごとを振りはらうには、それについてしゃべって問題点を認知するしかない。だから今日起こったことを女が話すのは、結論や解決策を見つけるためではなく、憂さを晴らしてすっきりするのが目的なのだ。 一日分のコミュニケーションをこなすために…

「そう見える」からといって「そうである」ということにはならない

男も女も、自分と同じようにふるまうことを無意識のうちに相手に期待している。だから二人の関係がおかしくなってしまうのだ。 アラン・ピーズ、バーバラ・ピーズ『話を聞かない男、地図が読めない女』 本来、自分と相手は異なる。 自分が見えている世界と相…

自分は「何者かである」と思い込んでいるだけ

定年は男の人生で一大事だ。生涯でいちばん大きなストレスがのしかかる時期とも言える。ストレスの原因は、仕事がなくなったことではない。もっと大きなもの――つまりアイデンティティが失われたことだ。 引退した男は、まず新しい生活に失望を覚える。元気が…