先生を困らせるのが面白いんです。いつかもお話したように、私に支配感を感じさせてくれるんです
M・スコット・ペック『平気でうそをつく人たち』
職場でヘラヘラしながら過ごしていると何かしらの問題が起こる。その問題に自分が巻き込まれることもあるし、自分とは何も関係のないところで起こっているものもある。
しかし、多くの問題の渦中にいる人というのがいる。
何かにつけて問題を引き起こしてしまう人、どうでもいいことを問題にしてしまう人というのがいて、ほんまおもろいなー、と思ってしまう。
私たちは人から価値のある人間として認識してもらいたいと思いながら日々を過ごしていて、人から価値のある人間として認識してもらえるような記号をかき集めることに日々必死だ。
その記号の1つに「力」というものがある。
他人や物事への影響力を手に入れて、自分は力のある価値のある人間なんだ、ということを証明したい。
自分は力がある、影響力がある人間なんだと他人に認識してもらえることで、自分は価値のある人間なんだと実感することができる、こんなに価値のある自分は人から一目置かれる存在であり、人から見捨てられることはないはずだ、人から大事にしてもらえるはずだ、と安心することができる。
ここには以下のような発想がある
力のない人間は価値がない。
価値がない人間は人から大事にしてもらえない、人から見捨てられる。
人から見捨てられたくない、大事にしてもらいたい。
だからこそ、力のないこのままの自分じゃだめだ、もっと力のある自分というものを証明しなければいけない、でなければ私は人から見てもらえない、大事にしてもらえない、見捨てられる、絶対に負けへんど、というような強迫観念や不安や恐怖に突き動かされ、とにかく自分の力を証明できそうなチャンスに飛びつくようになる。
そのようなチャンスがなければ無理矢理にでも作り出し、誰もがどうでもいいと思っているようなこと、歯牙にもかけないようなことを拡大解釈し、極度に問題視し、自分の力をアッピールし、証明し、力のある自分というものを感じるきっかけにしようとする。
そしてその問題が解決しても、またその人は新たな問題を作り上げ、力のある自分というものを証明し感じるきっかけにしようとする。
これはトラブルメーカーを通り越して、トラブルクリエイターと呼んでもいいかもしれない。
実際にそこに問題が存在しているわけではない。
実際に問題があるとかないとかはこの際関係がない。
本人には自分の力を証明し、自分が感じたい自分を感じるために何らかの問題が必要で、問題が必要だからこそ、問題があるように見えてしまう。
その結果、その人のまわりでは問題が絶えないということが起こるのかもしれない。
この根本的な原因は、問題があること自体ではない。
問題がどれだけ解決されても、本人はトラブルクリエイターとして問題を作り上げ、騒ぎ立てるだけだ。
トラブルは本人が自分の力を証明したいが故に作り上げられている。
んじゃあ、どうして自分の力を証明したいのかというと、価値のある人間として他人に認識されたいからで、んじゃあ、どうして他人に価値のある人間として認知してもらいたいのかというと、他人に価値のある人間として認知してもらえば大事にしてもらえると思っているからで、つまるところ、寂しくて人から大事にしてもらいたいだけなのであーる。
よってその人がスーパートラブルクリエイターを辞職するためには根本的な寂しさを解消する必要がある。
スーパートラブルクリエイターの人は、トラブルをきっかけにして自分の力を証明し、自分のことを「価値のある自分」として他人に認識してもらい、他人から大事にしてもらうことで、その根本的な寂しさを解消しようとしているのだけれど、自分の根本的な寂しさは自分の心の中の問題であり、自分の心に直接アクセスできるのはこの世の中に自分しかいないのだから、自分が自分の寂しさの解消方法を根本的に見直さない限りどうしようもない。
つまり、スーパートラブルクリエイターの人は他人から大事にしてもらい、自分の寂しさを解消しようとしている。
それを持ち前のクリエイターとしての発想力で、自分が自分を大事にして自分の寂しさを解消する方向へと転換していくしかないのではないかしらん。
力のある自分のことしか認めず、「力のある自分」として他人に認められた時にしか自分に価値を認めないような発想から、力の有無や他人からの評価とは関係なく自分は大事という前提に立ち、力のある自分も力のない自分も他人から認められている自分も他人から認められていない自分も全て大事な存在として見て、自分が自分を大事にしていく方向へ切り替えていくしかないのではないかしらん。
と、偉そうなことを言っているが、果たして自分はどうなのか。
どうでもいいようなことを問題として捉え、自分の力をアッピールするビジネスチャーンスにしようとしていないかしらん。
自分の身の回りの出来事が問題だらけに思えてきた時、それは本当にそれらの物事が問題なのか、あるいは自分の根本的な寂しさ故にスーパートラブルクリエイターとしての才能をバリバリに開花させ、力のある自分というものをアッピールし感じたいが故に問題を夢想想像しているだけなのか、カモミールティーでも飲みながら、立ち止まって考えてみる必要がある。
声出して切り替えていこうと思う。