おすかわ平凡日常記

整え続ける日々

多いとちゃんと見れない

整理がきちんとできれば、自分が把握していないものがいっさいない、クリアな状態になる。そうすれば仕事の効率も上がるし、リスク回避にもなるのです。

佐藤可士和佐藤可士和の超整理術』

 

注意を向ける場所が多くなりすぎれば、注意の総量は変わらないのだからひとつひとつに対する注意の総量は減り、かえって注意散漫になって暗記は難しくなる。

岩尾俊兵『世界は経営でできている』

 

日常生活における整理というのは持ち物を「使っているもの」と「使っていないもの」に分けて、使っていないものを捨てていくことだ。

 

そうすることにより、自然と使っているものだけが手元に残る。

そしてその量は決して多くはない。

ものを使うに当たっては、必ず時間と労力が必要になり、私たち一人ひとりの時間と労力には必ず限界があるからな。

 

使い切れないということは、そこに時間と労力を割くことができないということで、それは持っていない状態と等しい。

 

そしてものというのは時間と労力を割いて、きちんと使ってこそ自分のものになり、管理することができる。

 

ただ買って使わないままのものがたくさんあると、何がどこにあり、それら一つひとつがどのような状態なのかということを把握できない。

 

身近な空間にあるだけで、自分のものにはなっていない。

 

つまりものは買うだけでは自分のものにはならない。

きちんと大事に使ってこそ、自分のものにある。

 

ものを持つだけ持って、使わない、見ない、眺めない、手に取らない、ケアしないというのはある種の癖で、この癖は人間関係にも波及してくる。

 

例えば、友達だよねー、と言って連絡先を交換し、電話帳やSNSに連絡先はあるものの、実際は全然つき合いのない人、人間関係が事実上ないような人がいる。

 

人間関係をきちんと構築し、深めるためには時間や労力が必ず必要になってくるが、時間や労力を割くことができない(実際は割く気さえも起こらない)ために、電話帳やSNS上では多くの友人・知人がいるように見えても、実際そこには人間関係と言えるようなものはほとんどなく、その人がどこで何をしていて、最近はどのようなことを考えているのか、最近はどのようなことに興味があるのかみたいなことをわかっている人というのはほんの数人しか、いや数人さえもいないのではないかしらん。

 

さらに毎日接しているような家族や友人であっても、それはただ空間を共にしているだけであって、「この人はこういう人間だ、こう思っているに違いない」と自分の勝手な思い込みで人のことを固定的に見て、今その人が感じていることや今その人にはどのように世界が見えているのか、どのようなことを思っているのかということを見ようとしていないために、実際には人間関係を深められていないということも十分にアリエール。

 

それは「ものは変わらない」という前提で、買って手に入れたものを固定化して捉え、使わずに放っておく癖がついているために、人のことも固定化して捉え、相手のことを知ろうとせずに放っておくからだ。

(この人はこういう人間だ、と固定化したらもうそれ以上でもそれ以下でもなく、その人のことを知ろうとする必要はなく、機械的に接していけばいいだけだからな)

 

だがしかーし、ものも人も諸行無常の理によって「常」では決してない。実際は、何かを固定化して捉えることは絶対にできない。

 

だから今どういう状態なのかをその都度きちんと見て、きちんと確認する必要がある。そしてその確認には時間と労力がかかる。それがかったるいからつい固定化して機械的に対処しようとしてしまうのだけれど、それがかったるいのは、自分の時間と労力の量の限界を超えて、ものを持とうとしたり、人と付き合おうとしているからだ。

 

何かを把握するためには当然その対象に注意を払って、きちんと見る必要がある。

そして、何かをきちんと見るため、把握するためには時間と労力がかかる。

時間と労力を使って、注意を払ってちゃんと見ることできないと、ものも自分にとって大事なものにならないし、人間関係も深まっていかない。

 

私たちは「多くのものを使うことができる、多くの人と付き合うことができる」と誇大妄想しているかもしれないが、実際に使っていないものを捨てて、実際に付き合いのない人を連絡先から消すと(人間関係を切るわけでは決してない)、今の自分が使っているもの、今の自分が付き合っている人、大事にするべきものや人が見えてくる。それと同時に自分の身の丈を知ることができる、自分の時間と労力の限界を知ることができる、今の自分の(想像以上にシンプルな)現実を知ることができる。

 

自分の身の丈を知り、大事なものや大事な人間関係がわかると、自分の限りある時間と労力をそれらにどの優先順位でどう投下してどう大事にしていくかを考えやすくなる。

 

使っていないものを捨てる。

まずはそこからや。

 

声出して切り替えていこうと思う。